株式会社JALエンジニアリング

システム工学の専門家に学ぶ 失敗しない業務改革/DXの進め方


コロナ禍のために多くの業界が厳しい状況にありますが、航空機の点検・整備を手掛けるJALエンジニアリング様は、DXやリテラシー向上などに積極的に取り組むことで将来の反転攻勢への準備をされています。今回は、そのような活動を進めているIT企画部の中井さんからお声がけがあり、レヴィが扱っているシステムデザインの視点から業務改革/DXについて考えるオンラインセミナーとオンラインワークショップを実施しました。

目的と全体構成

様々な業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革の必要性が主張されていますが、表面的なデジタルのへの置き換えやツールの導入にとどまり、課題が解決されていないケースが多くあります。業務や事業の課題を解決する本質的なDXを実現するためには、業務に関わるステークホルダを議論に巻き込んで多様な視点から問題抽出や解決策提案に取り組まなければなりません。そのためには、レヴィが得意とするシステム思考やシステム工学的な手法(システミング)のような考え方が有効です。

そこで今回は、JALエンジニアリングの社員の皆様を対象に「システム工学の専門家に学ぶ 失敗しない業務改革/DXの進め方」と題した一連のオンラインプログラムを提供しました。プログラムの目的と構成は次の通りです。

システミング:レヴィが提案する、システムデザインを上手く実践するためのフレームワークのこと

ゴール

  • 表面的なデジタルへの置き換えではなく、業務や事業の課題を解決する本質的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するために必要な考え方や視点を得る
  • 本質的なDXの実現に役立つ具体的な手法の一つとして、レヴィが提案するシステム工学的な手法(システミング)を理解し、基本的なスキルを身につける

全体構成

  • セミナー編:レヴィが提案するシステミングの基本的な考え方、業務改革やDXの本質とは何か、DXに必要なビューやモデルとその例などをレクチャー形式で解説しました。
  • ワークショップ編:セミナー編で解説した考え方や手法を実際に体験することで理解を深め、自分の仕事や業務でどのように役立ちそうかをイメージするために、Balusを使ったワークショップに取り組みました。
セミナー編の参加者募集ポスター(の一部)

以下ではセミナー編とワークショップ編のそれぞれについて、解説内容やワークショップの様子を簡単に紹介します。

セミナー編

『使える』システム工学

まず最初は、レヴィの紹介を兼ねて「システミング」の基本的な事柄について紹介しました。

システミングは『使える』システム工学を目指して構築したフレームワークであると言えます。ここで『使える』というのは①誰でもできる(feasible)と②役に立つ(useful)の2つの意味を兼ねています。

『使える』考え方のうち、今回は視点をわける視点をつなげるシステムモデルで表現するという3つの内容を扱いました。

視点をつなげる

業務改革/DX

次に、業務改革やDXとは何か?についてあらためて考え、それらを推進する人材にはどのような視点や考え方が必要かについてディスカッションしました。

今回はDXを「○○がデジタルで変わる」と定義し、○○に何を入れるかによっていろいろなDXがあることを様々な事例を踏まえて紹介しました。

そしてメインテーマである「○○に業務を入れた場合」について、システム工学の考え方がどのように活用できるかについて議論しました。

DXとは何か?

モデルで考えるDX

最後に「社外研修への参加申請」という一般的にイメージしやすい題材を用いて、システムモデルを使ってDXの上流設計を考える方法の具体例を見ていきました。

ここはBalusの出番です。Balus上に構築したシステムモデルを見ながら、どのような視点や考え方が必要となるかを案内していきました。

DXデザインのサンプルモデルを解説

参加者の声(セミナー編)

  • 私はいろいろなDXに関するセミナーに参加していますが、こんなにDXをわかりやすく説明しているセミナーはありませんでした。私もITに関わる人間として勉強になりました。
  • 視点を分けて議論していく、整理して可視化するという考えを、実際の業務に活かせる事が出来たら素晴らしいだろうと感じました。
  • 視点をわける、つなげるということから、DXの進め方をテンポよく説明して頂けました。
  • DXが難しいのはデジタル技術導入が難しいのではなく、根本的に取り扱っている課題が複雑で難しいからだというお話には、はっとさせられました。「ITが苦手」という意見を理解することにも通じる重要な気付きを得られたような気がします。
  • 可視化することと、人を巻き込んで意見を拾っていくということが重要だと、再認識しました。

ワークショップ編

ワークショップの目的

レヴィが提供するトレーニングサービスではいつも、学習者が自ら手を動かして体験することを重視しています。前回報告したセミナー編ではシステミングに基づいて業務改革やDXについて考える方法を知るということを目的としましたが、今回のワークショップ編では体験することを重視して、次のような目的を設定しました。

  • レヴィが提案する考え方(視点をわける&つなげる、システムモデルで表現する)を体験して理解を深める
  • 業務改革やDXを考える上で重要なビューを体験する
  • 自分の仕事や業務でどのように役立ちそうかをイメージできるようにする
ワークショップ参加者の皆様

Balusの操作練習&自己紹介

レヴィの講師側はセミナー編でじっくり自己紹介しているので、ワークショップ編では参加者の皆さんに自己紹介して頂きました。

レヴィのオンラインワークショップでの自己紹介と言えば、Balusを使うのが定番です。今回もBalusの操作練習を兼ねて、モデルで自己紹介を行いました。自己紹介が終わるころには全員がすっかりBalus使いになっています。

自己紹介ワークの様子

セミナー編のおさらい

ワークショップに入る前に、セミナー編のおさらいを駆け足で行いました。システミングのこと、DXのことについてあらためて確認することに加え、セミナー編に対して頂いた質問へのレヴィからの回答についても紹介しました。

DXデザインのためのモデリング

次に、ワークショップの準備としてDXデザインのためのビューやシステムモデルについてあらためて確認しました。今回のワークショップでは特に、DXデザインのための第一歩として次の3つのビューに焦点を当てました。

  • コンテキスト:業務の目的や範囲を明らかにする
  • 業務フロー:業務のプロセスや具体的な行動を可視化する
  • 課題リスト:業務のどこで誰が課題をもっているかを抽出する

これらのビューやモデリングのステップについて、「社外研修への参加を申請する業務」という簡単な例に基づいて確認しました。

DXデザインのためのモデリングについて確認

全員参加のワークショップ

そしていよいよワークショップに取り組みました。ワークショップでは参加者の皆さんが普段取り組んでいる実際の業務をいくつか取り上げて題材とします。

どのような業務を取り上げるかについて皆さんから意見を募ったところ、「飛行機を出発させるための流れ」や「機材の品質管理業務」など、JALエンジニアリングさんならでは業務がたくさん挙がりました。

このような実際の業務を取り上げて、前述の3つのビューから業務改革について考えていきます。

ワークのアウトプットイメージ

今回は10名以上の参加者がいたので、数人づつ3つのグループに分かれてモデリングワークに取り組みました。モデリングではもちろんBalusを使います!

ワークのアウトプットを共有しているところ

短い時間でしたがどのグループもしっかりとモデルを描いて業務課題を抽出することができました。

所定の時間を過ぎてワークショップを終了した後も、質疑&ディスカッションの時間がとても盛り上がりました。ご参加頂いた皆さん、ありがとうございました!

参加者の声(ワークショップ編)

  • 前回の講習での内容が自分たちの業務の分析にも活用できること、業務を知らない人にも容易に伝えることができることを理解できた。
  • 課題のある業務に関わるステークホルダーが同じテーブルの上で業務について同時に作業でき、話しながら書き込み、線でつなげ、課題点を出し合うスピード感が快感でした。
  • システミングの考え方は、少なからず普段から実行している人もいると思うが、それを可視化して表すことで、業務の抜けがなくなったりやるべきことの明確化が図れると感じた。
  • 2時間という短い時間ではありましたが、大変有意義な講座でした。自分たちの職場に於いて、問題・課題認識を相手に理解させるにはどうすれば良いのか、その上でどのように取り組み、どのようにDX化できる部分があるのかを考えるとても良い機会でした。

貴社でもいかがでしょうか?

新型コロナの状況もあって最近様々な場面で必要性が叫ばれているDXについて、レヴィが提供しているシステミングがとても有効だと考えています。

今回紹介したワークショップやシステミングに基づくDXデザインにご関心のある方はお気軽にお問合せ下さい。