複合機やプロジェクタの組み込みソフトウェアをはじめ、様々なシステムの企画・設計・開発を手掛けるリコーITソリューションズ株式会社様に、上流設計やシステムモデリングに関する実践的な研修プログラムを提供しました。オンライン教材による事前学習やBalusを活用した長期のオンジョブ研修など、レヴィならではの構成となっています。
今回紹介する研修は、リコーITソリューションズ株式会社様(以下、RITSと記載)で業務用ソフトウェアの開発に取り組むチームにおいて、設計の質や効率の向上を目指す取り組みの一つとして実施されました。
今回は特に、システムモデルの活用に焦点を当てました。ソフトウェア設計ではUMLなどに基づいたシステムモデルが使われる場面がよくありますが、「ルールに則って記述されているか?」ということばかりに目が向いていたり、「報告書や納品物の一つとして用意しておかなければならない」という意識でつくられたりするだけで、モデルの本来の役割である設計の意図を効果的に伝達するという部分が忘れられがちです。そこでこの研修では、システムモデルの意義や役割について理解を深めた上で、本当に役立つシステムモデルとはどのようなものかを考えながらモデリングを実践し、設計スキルを向上させることを目指しました。
このような課題意識のもと、今回の研修では次のような目的とゴールを設定しました。
設計や実装において役立つモデルを構築するための考え方やスキルを身につける。
今回の研修は下の図に示すように4ヶ月間程の期間を使ってじっくり取り組みました。ただし、典型的な研修と同じようにみんなで一つの部屋に集まって身が拘束されるのは1日間のオンサイト研修だけです。その他の期間はオンライン教材やBalus(レヴィが提供しているクラウド型のモデリングツール)を活用することで、参加者各自の都合がつくときに少しずつ学習や実践に取り組むことができるようにしました。このような構成にすることで、日々の業務とスキルアップのための効果的な研修を両立させることができました。
研修のはじめの1ヶ月間は、ビデオレクチャーや各自でできる演習問題などの形式で用意したオンライン教材による学習に取り組みました。ここで扱った内容は次の3つです。
ここでは①と③のビデオレクチャーをちょっとだけお見せします。
オンライン研修の後はRITSの事業所にお伺いして、1日間のオンサイト研修を行いました。まずは「自己紹介体操」などのアイスブレイクをはさみつつ、ソフトウェア設計におけるシステムモデリングの演習を行いました。その上で、参加したチームが実際に業務で取り組んでいるプロジェクトを対象にして、コンテキストモデリングやビューモデル構築などの実践的なワークに取り組みました。最後に、ワークの成果を見ながらオンジョブ研修でどんなモデリングを進めるかについて考え、オンジョブ研修の準備を完了しました。
オンサイト研修の翌日からは、この研修のメインプログラムであるオンジョブ研修です。参加チームが実際に業務として開発しているソフトウェアについて、様々なビューからのシステムモデルをBalus上に構築して議論を進めます。Balusを用いることで、システムモデルに対する非同期的なレビューやコミュニケーションが可能になります。今回の研修でも、参加者同士や参加者と講師の間で活発なコミュニケーションを行いながらモデリングを進めました。
3ヶ月間程のオンジョブ研修を終えた後、最後のまとめとしてオンライン会議形式でのラップアップを行いました。研修の中でどのようなことに取り組んだのかをあらためて振り返り、その中で得た学びや気づきを共有しました。皆それぞれに学びや気づきがあり、それらを共有することでお互いにさらに理解を深めることができました。
研修後に実施したアンケート結果より
今回紹介したプログラムはオンライン教材による事前学習やBalusを活用した長期のオンジョブ研修など、レヴィでしか提供できない特徴的な形式となっています。これにより、4ヶ月間という比較的長期間ながらも日々の業務と研修によるスキルアップの両立を実現することができました。
RITSの場合と同じソフトウェア設計におけるモデリングはもちろん、電子回路設計、IoTシステムの開発、組織開発など、その他の領域のシステムデザインについても同じような形のプログラムを提供することができます。ご興味・ご関心をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。