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リモート時代の回路設計〜モジュール化でビジネスチャンスを掴む〜


新型コロナウイルス対策をきっかけに、リモートでの働き方や人材育成に関心が集まっています。コロナによる急速な社会環境の変化に対して、レヴィとして貢献できることはないかと考え、Quadcept株式会社と協力して、リモートワークに有効な回路設計手法に関する無償のオンラインセミナーを実施しました。

電子回路の設計は、熟練技術者の個人技に頼っていることが多いため、リモートワークだと品質や生産性を維持することが難しいという声をよく耳にします。そのような課題に対してシステムデザインを活用し、モジュール化設計を促進することで対処するというのが本セミナーのテーマでした。

セミナーは、Part IとPart IIの2回に分けて実施しました。それぞれ1時間の予定でしたが、ディスカッションが盛り上がり終了予定時刻を延長して実施しました。ここでは、それぞれの内容を簡単に紹介したいと思います。

また、セミナーに参加いただいた皆様に、後日、電子回路のシステムデザインにおけるBalusの活用方法についてもご紹介しており、評価いただいています。こちらのブログで紹介していますので、ぜひご覧ください。

電子回路のシステムデザインにおけるBalusの活用方法

Part I:電子回路設計におけるシステムデザインの活用と運用シナリオ

Part Iでは、システムデザインの概要と電子回路設計への活用方法についての説明を行いました。

モジュール化設計を実施する上では、下記の2つが大きな課題となります。

  • どの部分をモジュール化すべきか?
  • どのように表現すれば、再利用性の高いモジュールになるのか?

これらの課題に対して有効なのが、システムデザインです。

「モジュール化設計は、複数人で協力してチームでシステムデザインを行う時に有効なアプローチである」という前提に立ち、どのような視点で電子回路を捉え、どのような成果物を残すと効果的かを、私たちの経験や学術的な背景をベースにお話ししました。

形式知化するという視点で比較した電子回路設計の手法

従来のやり方では、要求仕様書から回路図までを、1人の技術者が頭の中で整合性を取りながら落とし込むということをやっていました。このやり方は、要求が明確であり、環境変化もあまりない場合には、最も効率的なやり方です。一方で、熟練技術者の属人的な技能に頼るため、人材育成やナレッジの蓄積という視点ではデメリットもあります。

私たちが推奨するモジュール化設計やチームでの電子回路設計に有効なやり方は、要求仕様書と回路図だけでなく、コンテキストや運用シナリオ、機能といった視点を活用する方法です。

モジュール化設計に有効な視点

このやり方では、運用シナリオや機能がモデルとして残され、抽象度の高いレイヤーで整合性確認ができ、「回路図の設計思想」「設計のなぜ?」が分かるようになります。要求が曖昧な状況からはじまる案件や、環境の変化によって要求が変わる場合などに特に効果を発揮します。また、人材育成やナレッジの蓄積にも有効です。

セミナーの後半では、「働く女性向けのドライブレコーダーの開発」を題材に、システムデザインの流れと運用シナリオの作り方についてお話ししました。

システムデザインの具体例

Part II:機能設計のススメ

Part IIでは、機能設計を中心にお話ししました。

まずは、大学衛星開発における失敗談を交え、「機能」という視点の重要性と表現方法についての説明を行いました。

大学衛星開発における失敗談

チームでシステムを作り上げるには、責務の認識共有が大切です。責務の認識共有に有効なのが「機能」という視点です。

「機能」とは何か

「機能」をきちんと意識し、形式知化することで、中長期的に流用設計のしやすさが向上します。また、「機能」を用いて設計に対するレビューを行うことで、短期的にも品質の向上や時間の短縮、ノウハウの継承などの効果が期待できます。ここでいうレビューとは、ISOなどで要求されるゲートとしての公式なデザインレビューではなく、組織内の様々な知見を取り入れるための非公式な設計レビューです。ソフトウェア開発の世界では、コードのレビューではなく「機能」を用いた設計レビューを行うことがすでに実践されており、効果を上げています。

「機能」を用いた設計レビューの効果の例

「機能」という視点を使いこなし、モジュール化を進めることで、単位回路あたりの設計時間の短縮が実現できます。

今回も、「働く女性向けのドライブレコーダーの開発」を題材に、「機能」という視点で見た時の電子回路の姿である「機能ブロック」や「回路ブロック」の作り方についてお話ししました。

運用シナリオから機能ブロック、回路図へのフローダウン

「コンテキスト」や「運用シナリオ」、「機能ブロック」は抽象的で馴染みもないため、遠い世界の話のように感じているセミナー参加者も多いようでしたが、「回路ブロック」まで来ると、システムデザインと普段の設計業務が結びつき、皆様腹落ちした様子でした。

参加者の声

オンラインセミナー終了後にいただいた感想の一部を紹介します。

  • 現状、弊社では、情報が点在しており、一つのモジュールとして統合されていません。設計情報間のつながりが弱いため、確認に時間がかかったり、担当者別の個性、ムラが発生することがあり、慎重に進める必要があります。システムデザインができれば、設計情報の関係性が整理され、効率が上がることに興味を持てました。
  • システムデザインの中で、「機能」から回路図を検討するイメージがわかりました。
  • 分かりやすい説明で理解できました。まだ他部門を巻き込んでシステムデザインを行うことは難しいのですが、これから勉強していきたいと考えております。
  • OEMの案件で、お客様の要求がまだ定まっていないときに、コンテキストモデルや運用シナリオを使って認識を揃えていくという進め方は、非常に有効だと感じました。慣れが必要だとは思いますが、さっそく実践してみようと思います。

おわりに

新型コロナウイルス対策をきっかけに、多くの企業がリモートワークなどの新しい働き方を導入しています。関係者が同じ場所にいて、分からないことをすぐに聞くことができたり、社内の情報にアクセスできる環境を前提とした働き方から、場所もバラバラ、働く時間もバラバラという環境を前提とした働き方に変わっていく必要が出てきています。システムデザインの考え方とクラウドツールであるBalusは、そのような新しい働き方に適したものです。

レヴィでは、ツール提供の他、システムデザインに関する研修やコンサルティングも行っています。ご興味・ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。