株式会社grooves

非ソフトウェアエンジニアのためのシステミング体験ワークショップ


ソフトウェアシステムの開発には、ビジネス・プロマネ・UI/UXなど「コードを書くソフトウェアエンジニア」以外のプロフェッショナルが多く携わります。システム設計・システムデザインという言葉を聞くとついついエンジニアがやること、と思われることも多いですが、実際にはこれらのプロフェッショナル全員でやっていること=システム設計であり、システミングを使ってそれぞれの視点を理解することでより円滑な設計が可能になります。

今回は「はたらくヒトと、未来を拓く。」をビジョンに Forkwell や Crowd Agent などの人材サービスを手掛ける grooves さんでシステミング体験ワークショップを実施しました。

研修の目的・概要

冒頭でも書いたように、ソフトウェア開発はいろいろなプロフェッショナルが知識を組み合わせてリレーすることで価値を生み出していく設計プロセスです。一方で、この設計プロセスの全体像、特にどんな視点で考えどのような意思決定をするべきか?というフレームを独力で構築するのは簡単ではありません。そのため、仕様書などの決まった成果物を作ることに目がいってしまい、それが他のプロフェッショナルにどう使われるか、逆にどう作ったらうまく意思疎通できるかを考えるところまで行き着かないのが実情ではないかと思います。

今回はビジネスサイド(営業)からプロダクトマネジメントにジョブチェンジされた方とUI/UXデザイナーの方を対象にして、ゲームを用いた導入教材やシステムモデリングを実践的に体験するワークショップを提供させていただきました。体験を通じて、ご自身が今やっていることがシステム開発全体の中でどういう役割を持っているのか、またエンジニアの視点から見るとどのように見えるか、といったフレーム/視点をご理解いただけたのではないかと思います。

研修の流れ

1日で、次のようなことに取り組みました。

  1. ゲームを用いたシステム開発体験
  2. システムデザイン入門レクチャー
  3. 上流設計モデリングの体験

※ 研修の内容や構成は要望に応じてカスタマイズすることも可能です。

研修の様子

ゲームを用いたシステム開発体験

プログラムは、レヴィのオリジナルボードゲーム「ペジテの自転車」を使ったシステム開発の疑似体験からはじまります。プレイヤーは自転車メーカーの新製品開発チームのメンバーになりきって、顧客要求に基づいて自転車を設計していきます。ゲームの中では突然の要求変更や外部環境の変化などが起こり、実際のシステム開発で起こり得る様々な場面を体験することができます。

ペジテの自転車をプレイする様子

ゲーム教材を活用することで、システム開発経験の少ない方非エンジニアの方でもシステム開発の流れと難しさ、気にすべき重要な点などについて実感することができます。ゲームを通して体験したことや、ゲームの中で登場する用語などが、後に続くレクチャーや演習における学習の基礎となります。

ペジテの自転車については以下のブログでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

システムデザイン入門レクチャー

次はいよいよ、システムモデリングの体験に取り組みます。ソフトウェアの設計の最初期段階で特に重要なビューとして「コンテキスト」「業務フロー」「画面遷移図」「概念モデル」を取り上げ、それらに対応したモデルを構築することで上流設計を体験します。

スライドの一部

上流設計モデリングの体験

「皆さんがペジテの自転車の世界で取り組んだことは、システムデザインの基本です」という説明から始まるレクチャーで、システムデザインやシステム思考の基礎を学びます。ペジテの自転車を振り返りながら、システム、ビュー、モデルなどの重要な概念について意味を確認していきます。

今回はどのようにモデリングが認識合わせに役立つのか、を体験いただくために、 grooves さんのサービスの中で「少し分かりづらいところ」「説明が難しいところ」をみなさんに教えていただき、それを題材として一緒にモデリングを行いました。

普段やっていることを視点に分解し、それらを繋げるというシステムデザインの基本を体験いただくことで、ボードゲームを通じて得た感覚が実際のシステム開発とつながります。

モデルそのものは仕様書や実際の画面に比べると抽象度が高く曖昧なものですが、逆にそういった曖昧な状態でも十分に議論ができること、さらにその状態で選択肢を検討し大きな方向性を揃えることでエンジニアも含めて着地点が揃う感覚を持っていただけたのではないかと思います。

上流設計モデリング(体験)の様子

また、これらのモデルと繋げる形でエンジニアの視点、どうして変更しやすい箇所としづらい箇所があるのか、なぜエンジニアがそこにこだわるのかを議論しました。

エンジニア視点についての議論

参加者の声

研修後に実施したアンケート結果より

  • プロジェクトを進行する際に最初にすべきことを再認識できた。概念モデルが共通言語になることやブレない指針となりそうことが理解できて良かった。
  • ボードゲームでの疑似体験から入れたので、実際のプロジェクトのことを思い出し講義の内容と結びつけやすかったです。2回目のゲームの振り返りで、ステークホルダーの把握や要求定義の大切さなどを学ぶことができました。
  • 全体を通して大変分かりやすかったです。PMのみならず弊社のエンジニアにも参加していただきたい内容でした。丁寧にご説明いただきありがとうございました!
  • ソフトウェアの固さ、ビジネスサイド出身者らしく全く分かっておらず、これまで考える機会もほとんどありませんでしたので配慮あるコミュニケーションに努めていきます。
  • ペジテの自転車、何年ぶりかのようなカードゲームで純粋に楽しませていただきました。ものづくりを進めていく上で必要なステップや手順などを短い時間で身を以て体感することが出来、解説いただいた内容以上に示唆に溢れた研修でした。
  • 各モデルの書き方、大変勉強になりました。研修内でも触れましたが、弊社内でのコミュニケーションはテキスト(要件定義書)→デザイン(プロトタイプ)→開発(ストーリーなど)といった流れで進んでいましたので、より正しく・素早く・直感的に物事を伝えていくツールとして取り入れていきたいです。

貴社でもいかがでしょうか?

今回紹介したプログラムは、独自教材のゲーム教材やモデリングワークショップなどを活用した特徴的なものとなっています。非エンジニアやビギナーエンジニアを対象に、システム開発・システム設計の全体像や重要な概念を知って欲しい場合に特に有効です。同様のプログラムについて詳細な案内を用意していますので、ぜひご覧下さい。

grooves 様の場合と同じソフトウェア分野はもちろん、電子回路設計、IoTシステムの開発、組織開発など、その他の領域のシステムデザインについても同じような形のプログラムを提供することができます。ご興味・ご関心をお待ちの方は、お気軽にレヴィまでお問い合わせ下さい。