コロナ禍のために多くの業界が厳しい状況にありますが、航空機の点検・整備を手掛けるJALエンジニアリング様は、DXやリテラシー向上などに積極的に取り組むことで将来の反転攻勢への準備をされています。今回は、そのような活動を進めているIT企画部の中井さんからお声がけがあり、レヴィが扱っているシステムデザインの視点から業務改革/DXについて考えるオンラインセミナーとオンラインワークショップを実施しました。
様々な業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革の必要性が主張されていますが、表面的なデジタルのへの置き換えやツールの導入にとどまり、課題が解決されていないケースが多くあります。業務や事業の課題を解決する本質的なDXを実現するためには、業務に関わるステークホルダを議論に巻き込んで多様な視点から問題抽出や解決策提案に取り組まなければなりません。そのためには、レヴィが得意とするシステム思考やシステム工学的な手法(システミング※)のような考え方が有効です。
そこで今回は、JALエンジニアリングの社員の皆様を対象に「システム工学の専門家に学ぶ 失敗しない業務改革/DXの進め方」と題した一連のオンラインプログラムを提供しました。プログラムの目的と構成は次の通りです。
以下ではセミナー編とワークショップ編のそれぞれについて、解説内容やワークショップの様子を簡単に紹介します。
まず最初は、レヴィの紹介を兼ねて「システミング」の基本的な事柄について紹介しました。
システミングは『使える』システム工学を目指して構築したフレームワークであると言えます。ここで『使える』というのは①誰でもできる(feasible)と②役に立つ(useful)の2つの意味を兼ねています。
『使える』考え方のうち、今回は視点をわける、視点をつなげる、システムモデルで表現するという3つの内容を扱いました。
次に、業務改革やDXとは何か?についてあらためて考え、それらを推進する人材にはどのような視点や考え方が必要かについてディスカッションしました。
今回はDXを「○○がデジタルで変わる」と定義し、○○に何を入れるかによっていろいろなDXがあることを様々な事例を踏まえて紹介しました。
そしてメインテーマである「○○に業務を入れた場合」について、システム工学の考え方がどのように活用できるかについて議論しました。
最後に「社外研修への参加申請」という一般的にイメージしやすい題材を用いて、システムモデルを使ってDXの上流設計を考える方法の具体例を見ていきました。
ここはBalusの出番です。Balus上に構築したシステムモデルを見ながら、どのような視点や考え方が必要となるかを案内していきました。
レヴィが提供するトレーニングサービスではいつも、学習者が自ら手を動かして体験することを重視しています。前回報告したセミナー編ではシステミングに基づいて業務改革やDXについて考える方法を知るということを目的としましたが、今回のワークショップ編では体験することを重視して、次のような目的を設定しました。
レヴィの講師側はセミナー編でじっくり自己紹介しているので、ワークショップ編では参加者の皆さんに自己紹介して頂きました。
レヴィのオンラインワークショップでの自己紹介と言えば、Balusを使うのが定番です。今回もBalusの操作練習を兼ねて、モデルで自己紹介を行いました。自己紹介が終わるころには全員がすっかりBalus使いになっています。
ワークショップに入る前に、セミナー編のおさらいを駆け足で行いました。システミングのこと、DXのことについてあらためて確認することに加え、セミナー編に対して頂いた質問へのレヴィからの回答についても紹介しました。
次に、ワークショップの準備としてDXデザインのためのビューやシステムモデルについてあらためて確認しました。今回のワークショップでは特に、DXデザインのための第一歩として次の3つのビューに焦点を当てました。
これらのビューやモデリングのステップについて、「社外研修への参加を申請する業務」という簡単な例に基づいて確認しました。
そしていよいよワークショップに取り組みました。ワークショップでは参加者の皆さんが普段取り組んでいる実際の業務をいくつか取り上げて題材とします。
どのような業務を取り上げるかについて皆さんから意見を募ったところ、「飛行機を出発させるための流れ」や「機材の品質管理業務」など、JALエンジニアリングさんならでは業務がたくさん挙がりました。
このような実際の業務を取り上げて、前述の3つのビューから業務改革について考えていきます。
今回は10名以上の参加者がいたので、数人づつ3つのグループに分かれてモデリングワークに取り組みました。モデリングではもちろんBalusを使います!
短い時間でしたがどのグループもしっかりとモデルを描いて業務課題を抽出することができました。
所定の時間を過ぎてワークショップを終了した後も、質疑&ディスカッションの時間がとても盛り上がりました。ご参加頂いた皆さん、ありがとうございました!
新型コロナの状況もあって最近様々な場面で必要性が叫ばれているDXについて、レヴィが提供しているシステミングがとても有効だと考えています。
今回紹介したワークショップやシステミングに基づくDXデザインにご関心のある方はお気軽にお問合せ下さい。