明立精機株式会社

自社製品の価値を高めるための新しいシステム開発にBalusを活用


半導体産業を支える「除振装置」の開発・販売を手掛ける明立精機株式会社様によるBalusの活用例を紹介します。除振装置の価値を高める新しいシステムの上流設計においてシステムモデルを通した対話を上手く実践し、これまでにないプロダクトをつくりだすことに成功しました。

性能以外の付加価値を求めて

明立精機は除振装置のパイオニアとして知られ、アジアを中心に国内外で顧客に支持される製品を取り扱っています。除振装置とは、極めて微細な測定が必要な機械(例えば半導体や有機ELの検査装置やレーザー顕微鏡など)に対して、床からの振動を伝えないようにする装置のことです。除振装置の中でも明立精機さんが得意とする「アクティブ除振台」は、振動の計測と制御によって極めて微小な振動環境をつくることができます。

明立精機はいち早くアクティブ除振台の技術確立と製品化に成功し、シェアを伸ばしてきました。しかし最近は、競合企業との競争が激化してきており、新しい価値提案が必要となってきました。除振性能が高いというだけでは差別化が不十分であり、性能以外の付加価値を見つける必要がありました。

アクティブ除振装置

パソコン一台で手軽にモニタリング

そこで着目したのが「振動は目に見えない」ということです。除振装置の相手は、人間では感知できない非常に小さな振動です。そのため、計測がうまくできないなどのトラブルがあった場合に、装置に問題があるのか、除振装置に問題があるのか、すぐには分かりません。また、ずっと張り付いて動作を監視しているわけにもいきません。そこで明立精機は、振動環境のモニタリングという付加価値を提供しようと考えました。

一般的に振動のモニタリングを行うには、センサ、ロガー、解析ソフトなどの様々な道具を用意しなくてはなりません。さらに自動的にログを残したい場合は専用のソフトウェアをつくる必要も生じて、かなりハードルが高いものになります。

これに対して明立精機はパソコン一台で手軽にモニタリングできるシステムを構築し、それを自社製品の付加価値とすることを目指しました。

設計の難しさ

アクティブ除振台には制御のためのセンサがついています。このデータを活用すれば、原理的には振動環境モニタリングが可能です。しかし、モニタリングシステムの仕様を固めるのは簡単ではありません。除振装置の専門性、演算装置の専門性、パソコン上で動くアプリケーションの専門性など、異なる専門性を持つエンジニアの知見を統合し、適切なインターフェースを再設計する必要があるからです。

これまで明立精機にとって演算装置は「除振のためのアルゴリズムを実行する装置」でした。しかしモニタリングを行うためには、パソコンと演算装置が常に通信を行い、センサデータ等を送受信を行わなくてはならず、演算装置に期待する役割(機能)が大きく変わります。役割が変わると、扱うインターフェースが変わります。その結果、アーキテクチャを見直す必要があります。ここが明立精機にとって高いハードルとなっていました。まず、演算装置の仕様をすべて把握できているわけではないので、何ができて、何ができないのかがわかりません。さらに、どうすればできるようになるかもわかりません。

Balusで上流設計

そこでBalusとシステムモデリングの出番です。まず、モニタリングシステムを含めたアクティブ除振台システムのゴールと全体像を描きました。そして、ゴールを実現するために必要なコンポーネントと機能、それらの間のインターフェースについて、それぞれの専門家とモデルを通した対話を重ねていきました。その結果、はじめは不明確だった実現可能性もだんだんと明確になり、モニタリングシステムの仕様を固めることができました。

Balusを活用する様子
モニタリングシステムの設計に用いたビューモデル

モニタリングシステムの開発は、それまでの明立精機が扱ってきた課題領域を大きく超えるものでした。Balusとシステムモデリングを活用することで、認知の限界を広げ、新しい領域を把握できるようにして、これまでにない製品の上流設計を可能にしました。今回の事例で紹介したモニタリングシステムはすでに製品化しており、明立精機の除振台に付加価値を与える武器となっています。

完成したモニタリングアプリの画面

担当者の声

モニタリングシステムの開発を担当した明立精機株式会社・技術部の井上雅由さん(マネージャー)と斎藤正大さんに「Balusの良いところ」を聞いてみました。

斎藤さん(左)と井上さん(右)

Q. Balusを使ってみて、どんなところが良かったですか?

斎藤:リアルタイムで考えや情報を整理しながらコミュニケーションできるところが良かったです。特にソフトウェア開発担当の技術者とのコミュニケーションに活用させて頂きました。

井上:Balusを使うことで、議論の対象にフォーカスを合わせながら話をしていくことができました。大人数での会議では話があっちに行ったりこっちに行ったりしてしまうことがありますが、Balusを使った会議ではそういうことがおこらなかったと思います。

斎藤:オンラインホワイトボードのサービスを使ったことがありますが、矢印を使うのが難しかったり、構造化に時間がかかったりして、パッと情報を整理するのには使えないという印象でした。Balusは素早くクリックだけで矢印をつくることができたり、ゾーンをつかってすぐにグルーピングできたりして、とても使いやすかったです。

井上:海外に設置した子会社とのリモート会議にもBalusを重宝しました。発言をどんどん図にしながらコミュニケーションすることで、お互いの理解が早くなった気がします。図を描くことで、現在の状態や責任分担が分かりやすくなって、あとからもめることがない形でやりとりができるようになりました。

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