独立系ソフトウェア企業としてICT関連の製品・サービス・技術を幅広く扱っている株式会社シーイーシー様のエンジニアを対象に、システム思考と上流設計をテーマにしたオンライン研修プログラムを提供致しました。「月面探査車の開発」という「楽しく想像はできるけど、具体的なことを考える機会はあまりない」という題材を使って、Balusでモデリングしながら上流設計の肝を学んで頂きました。
今回のプログラムへの主な参加者は、幅広い分野のプロダクトやサービスを扱っているシーイーシー様の中でも、特にモビリティサービスに関連するエンジニアの皆様でした。モビリティ業界は現在、デジタルテクノロジーの力により大きな変化を迎えています。そのような中、新しい価値を創出してビジネスを成功に導くためには「上流設計」の力が必要不可欠です。
今回紹介するプログラムでは、上流設計を「システムデザインのプロセスのうち、システムを外から見た姿を理解して、システムの中の言葉に翻訳するまでの段階」と定義して、システム思考やシステムモデリングの考え方を使ってそれを実行していくプロセスを学ぶことを目的としました。
プログラムの前半ではシステミングの考え方をベースにして、システム思考やシステムモデリングをレクチャーで学びました。
レクチャーの後は、システミングの良さやBalusの利用方法の具体的なイメージを掴めるようにモデリングの実演を行いました。実演では、シーイーシー側でこのプログラムの世話人をつとめてくださった方にヒアリングしながら「研修を実施するまでの業務を理解する」という設定でコンテキストモデルと業務フローモデルをつくりました。
わずか15分間程度のヒアリングで、下記のような業務を理解するためのモデルを完成させることができました。コミュニケーションしながら効果的にモデルを構築することができることがBalusの良いところです。
システミングに基づいてシステム思考やシステムモデルの基本を学んだ後は、今回のテーマである「上流設計」について考えました。
上流設計という言葉はいろいろなところで聞くことがありますが、はっきりとした定義はあまり目にしません。このプログラムではシステミングに登場する「システムの外と中」という概念を用いて「上流設計とはシステムデザインのプロセスのうち、システムを外から見た姿を理解して、システムの中の言葉に翻訳するまでの段階」と定義することで話を分かりやすくしました。
上流設計の重要性はNASAの資料などでもよく強調されています。レヴィが公開しているサルでもわかるNASA式システム開発の「4. システムを知る者は勝ち、知らざる者は勝たず」の章でも少し紹介しているので、ご関心のある方はぜひご覧になってみて下さい。
プログラムの後半では「月面探査車の開発」をテーマにして上流設計モデリングを体験するワークを実施しました。まずはNASAのアルテミス計画を参考にしながら月面探査に登場する要素を確認します。
ワークでは「月面探査車の上流設計チームとして要求定義書を出すことを求められた」という設定のもと、コンテキスト・オペレーション・要求のビューからモデルを構築し、システムの外と中をつなぐ上流設計を実践しました。
モデリングにはもちろんBalusを使いました。グループに分かれてレヴィのファシリテーターと一緒にモデリングを進めていきます。
Balusを活用することでオンラインでも活発な議論とモデリングが行われ、どのグループも上流設計のためのモデルを完成させることができました。
プログラム終了後に回収したアンケートから、参加者の声を紹介します。
テクノロジーの発達やコロナ禍の影響などによって目まぐるしく変化する社会の中で価値あるものをしっかりとつくっていくためには、システム思考や上流設計のような考え方がとても重要です。
レヴィの提供するフレームワークや研修にご関心のある方は、お気軽にお問合せ下さい。