鳥取城北高等学校

高校生を対象としたシステムデザイン教育


社会人エンジニアや工学系の大学生を対象としたシステムデザイン教育をいくつも手掛けてきたレヴィですが、社会の複雑さとICT技術への依存&期待がますます高まっていく中、さらに早期の教育についてもご要望を頂くことがあります。そのような例の一つとして、高校生を対象にして実践したシステムデザイン教育について紹介します。

取り組みの概要

今回紹介する取り組みは、鳥取城北高等学校(以下、鳥取城北高校)の高校生を対象としたものです。同校が取り組んでいるICT教育の中で「システムデザインについても扱いたい」というご要望があり、体験型のシステムデザイン教育を実践することになりました。

鳥取城北高校はアクティブラーニングや部活動を通した心身の教育に力を入れている学校で、照ノ富士を輩出した相撲部などが有名です。スポーツだけでなく、テクノロジーやデザイン、起業などを活動のテーマとする部活動もあり、熱心な先生たちのもとでたくさんの高校生が実践的に学びを深めています。そんな鳥取城北高校で新たに立ち上がった「プログラミング講座」では、地域の企業が参画する形で先進的なICT教育の取り組みが試行されています。

プログラミング講座の活動の様子

このような先進的な取り組みにおいて、参画企業側の中心となっているのが鳥取市の株式会社アクシスさんです。子供向けのプログラミング教室を手掛けてきたノウハウに基づいて、分かりやすいステップバイステップのプログラミングの指導&解説を提供しています。実はアクシスさんは、レヴィのシステムデザインに関するサービスを導入して下さっている企業でもあります。アクシスさんとの取り組みについては下記のような事例もありますので、ぜひご覧下さい。

今回紹介する取り組みでは、アクシスさんが得意とするプログラミング教育とレヴィが得意とするシステムデザイン教育を組み合わせることで、将来の社会で活躍できる人材を育成するための教育プログラムの実現を目指しました。

実践のための要素技術から

実務経験どころか一般的知識すらまだ学習の途中である高校生たちに机上の話としてのシステムデザインの話を伝えても、その必要性や考え方が上手く伝わるとは思えません。そこで今回の取り組みでは、とにかくシステム開発やプロジェクトを実践することで、システムデザインを少しづつ体感していくというステップをとることにしました。

そのため、まずはプログラミングの基礎やフィジカルコンピューティングの知識など、システムの実装に関するスキルを身につけることからはじめました。

まずはブロックプログラミングから
センサやアクチェータの制御など、フィジカルコンピューティングにも挑戦

IoTをテーマに

プログラミングやセンサ制御などの要素技術を学んだ後は、それらの技術を活用することを想像しながら「学校生活をもっと楽しくするIoT」をテーマとしたアイデア創出に取り組みました。

※ IoT:Internet of Things/モノのインターネット

現実の世界とコンピュータの世界、そしてインターネットの世界をつなぐシステムによってどんな面白いことができるのか、自分たちが良く知っている学校生活を対象にして考えた結果、「掃除の時間が楽しくなるIoTゴミ箱」や「学食の空席状況を予測するシステム」など様々なアイデアが出てきました。

アイデアワークショップの様子

システムデザインにチャレンジ

次はいよいよシステムデザインに取り組みます。アイデアワークショップで出したIoTのアイデアから一つを選び、システムモデリングによる設計に挑戦しました。

システムデザインについて学ぶ

今回は、上流設計において最も基本的かつ重要なモデルである「コンテキストモデル」と「業務フローモデル」を描きました。ビューを分けてシステムモデルで表現するという初めての考え方に最初は苦労していましたが、どのグループも立派なシステムモデルを完成させることができました。

議論しながらシステムモデルを描く
完成したシステムモデル

高校生たちが取り組んだコンテキストモデルと業務フローモデルの構築について、基本的な考え方をまとめた入門ガイドを公開しています。それぞれ無料でダウンロードできるので、ぜひご覧になってみて下さい。

プロトタイピング

設計の後は、実装です。ここまでに学んできたプログラミングのスキルと、ダンボールなどの簡易材料を使って提案するIoTのプロトタイプをつくりました。

プロトタイピングの様子(1)
プロトタイピングの様子(2)

いざプロトタイプをつくりはじめると、設計について変更や具体化が必要になる場面が出てきます。システムモデルとプロトタイプを行ったり来たりしながら試行錯誤を繰り返し、どのグループも実際に動作するプロトタイプを完成させることができました。

成果を発表する様子

おわりに

プログラミングの基礎やセンサの使い方からはじまって、アイデア創出やシステムデザイン、そしてプロトタイピングにまで取り組むというとても盛りだくさんで挑戦的な内容でしたが、参加した高校生たちは最後まで頑張りました。

彼らが社会に出る頃には、今よりもさらにたくさんの複雑なシステムが溢れているはずです。ここで学んだシステムデザインの考え方やプログラミングのスキルを活かして、未来の社会で価値を生み出していくことができる人材になってくれることを期待しています。

参加した鳥取城北高校プログラミング講座の高校生たち

お気軽にお問い合わせ下さい

今回は高校生を対象にしたシステムデザイン教育の事例を紹介しました。設計やモデリングなどの抽象的な概念でも、実践的なワークを通して分かりやすく伝えることができるというのがレヴィによる人材育成支援の強みです。

実務経験のない新人や非エンジニア職を対象としたシステムデザイン教育から、ハイレベルなエンジニアを対象とした設計開発支援まで、幅広いメニューを取り揃えていますので、ご関心をお持ちの方はお気軽にお問い合わせ下さい。